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太平山は知っているが、木曽吉山(きそよしざん)は知らないという人が多い。

 今は、太平山と言えば前岳も中岳も総てを含んでの名称であるが、以前はしかるべき名前が峰ごとに付けられていた。
 江戸時代は奥岳をのみさして、太平山と呼んでいたのである。

 金山滝から登山するのが、一番歴史も長く正規のルートである。
金山滝からの急な斜面をゆっくり登り切ると前岳に到達する。前岳の名前は、神仙山(しんせんざん)と呼ばれていた。玄学に詳しい人なら、その名前だけで、霊峰という名が冠せられる太平山に興味がわくのではないだろうか。

前岳から更に歩を進めると、中岳(なかだけ)に達する。中岳の名称が、木曽吉山(きそよしざん)である。市の中心部から見える一番高い所である。

この木曽吉山に始めて三吉大神が辰傳之助翁によって祀られた。

ここが、三吉信仰の原点である。そこから御神威が発揚され、全国に信仰の広がりを見せて今日に至っている。

 年配の方が、学校の太平山登山の思い出話などをなされる場合が時にあるが、みな八田から当神社まで4キロの道を歩き、更に金山滝まで4キロを歩いたという。
そして、登山をしたのである。今は距離も短くなり、登山口まで車で行けるから、当時とは雲泥の差である。

木曽吉山と銘打った石碑 堂の前